タイムスの話   

2001年、夏も終わり涼しい風が吹き始めた頃、
「大切にしていたワンちゃんが死んでしまい、半年経っても毎日思い出してしまう。
ワンちゃんの写真で指輪を創って欲しい」
お得意様のお嬢様の一言からこの指輪が生まれました。

「祖母の古いかんざしが、素敵なペンダントに生まれ変わったから、ワンちゃんの写真でも
きっと指輪を創ってくれる」そう思われてご来店下さったそうです。しかしながら、
こちらも宝飾クラフトの世界に10年以上携わっておりますが、写真で指輪を制作するなど
聞いた事もなければ考えた事もございませんでした。
「ペンダントに写真を入れた方がデザインの幅も広がるよ」と無難な提案を致しましたが
「指輪でなければ意味がないんです。ペンダントではダメ、勉強している時も電車に
乗って吊り革につかまってる時でも、いつでもワンちゃんの顔が見えなければ・・・」
そう仰る彼女のワンちゃんに対する愛情の深さに心を打たれてしまいました。

そして先の全く見えないオーダーではありましたが、2002年3月の命日までに完成させる
という約束をしてしまい、その日より私の苦悩の日々が始まりました。多少のあては
あったものの、問題は山積みで周りの人々を総動員致しました。
年が明け、タイムリミットまであと2ヶ月という頃、やっと何とか形にするところまで
事を運ぶに至りました。「これなら彼女の想いが叶う」そう確信してからというもの、
トライ&エラーの末やっとワンちゃんの命日までに無事完成させる事ができました。
ご納品した時の彼女の本当に嬉しそうな顔が忘れられません。
このオーダーを受けて良かった、そう思っております。

この様にペットを心から愛しておられる方、また、ペットだけではなく「想い」や
「記念」をとても大切にされていたり、形にしたいと思われている方が多数いらっしゃる
事かと存じます。

「大切な想いといつも一緒」そんな願いを叶えてあげたいと制作致しました「」、
お客様にとても喜んでいただける作品ではないかと自負しております。
弊社も今後更なる技術向上と誠意をもって活動して行きたいと考えております。

※プライバシー保護のため、犬の名前を「ワンちゃん」にいたしました。


                          クラフトマン  佐藤 寿孫

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